~~間取りよりも重視すべきは耐震性~~
せっかくの家づくりだからと、夢や理想が膨らむ気持ちも痛いほど分かります。人によっては、とりあえず自分で書いた間取りを工務店やハウスメーカーに持ち込み、構造や耐震を踏まえてプロにアレンジしてもらう…といったケースも見受けられます。しかし、耐震性は間取りで決まる、言い換えれば耐震の基本は「構造を整えたうえで間取りに取り掛かる」こと。自由設計を謳い文句に、耐震性を後回しにした無茶な間取りでも確かに建築基準法における耐震等級1なら建てられますが、ここまでこのブログを読んできた方なら「いや、それでは不十分だ」と感じて頂けるのではないでしょうか。

「構造を整えること」それは東西南北の軸(柱や壁)が綺麗に整い、かつ2階の柱や壁の下にはしっかりと1階の柱や壁が配置されるといったシンプルなラインで構成された家が、構造の整った家と評価することができます。勘違いしている人も多いのですが、自由設計=ルール無用ではありません。間取りばかりを優先すると軸が合わず屋根の形も複雑になり、そのぶん耐力壁を多めに入れたり、梁をより太くしたり大きな接合金物を設置したりと余計なコストアップの原因にもなってしまうのです。耐震性を高めるべき基本ルールをしっかりと守ったうえでお施主様の希望通りの間取りを実現することが、設計士としての腕の見せ所でもあるのです。

~~自由設計=ルール無用ではない~~
今日は構造に関して誰にでも分かる、踏み込んだ話を一つ。先ほど「耐震性は間取りで決まる」と書きましたが、ポイントは「構造計画」にあります。間取りを作るときに、この「構造計画」というルールをしっかりと意識することが重要です。簡単に説明すると、そもそも家は構造区画(柱と横架材で囲まれた基本区画)の集まりです。※イラスト出典:M's構造設計

同じ大きさの1階と2階を重ねれば当然、同じ位置に柱や壁が来るため、耐震的にも強いことが分かります。仮に1階に対して2階がやや小さい場合でも、2階の4隅に対して1階に柱を設けることでカバーできます。しかし、2階の構造区画の下に必要な柱を立てたくないからと「梁で支える」という選択肢を取ることは「構造上、オススメできない」とM's構造設計の佐藤実氏は警鐘を鳴らします。※イラスト出典:M's構造設計

構造計算を行えば不可能な設計ではありませんが、前述したようにコストアップの原因となり経済性が落ちるでしょう。「もし仮に柱が邪魔で大きな窓が設置できない、リビングの真ん中に柱が来るのが嫌だ、と言うのであれば、その原因は構造区画にあるので、そもそも構造区画をイチからやり直すべき」と佐藤氏。続けて「どうしても1階に対して2階が小さな家を建てたい場合は“2階を小さくする”という発想を変えて、総2階建ての1階部分の横に下屋を設けるイメージでプランニングしてほしい」と解説しています。※イラスト出典:M's構造設計

これは、あくまで構造に関する基本的な話ですが、間取りやデザインに対して夢や理想を含ませつつも、しっかりと一歩立ち止まって、多くの読者の方が自分はもちろん大切な家族、そして地域を守るためにも、構造のことを考えた家づくりを行ってくれることを切に願います。以上、全8回に渡ってお送りしました「耐震の重要性」でした。