~~社会問題となったシックハウス症候群、建材の使用制限や換気設備の義務化~~
住まいの空気環境について注目を集めることになったのは、1990年から2000年にかけて表面化し、大きな社会問題となった「シックハウス症候群」です。それまでの日本の家づくりは、遡れば兼好法師が書いた「徒然草」の一文に「家のつくりようは、夏をむねとすべし」とあるように、冬の寒さよりも夏の暑さや湿気を凌ぐために風通しを重視した、いわゆる「隙間だらけ」の家でした。
しかし、技術の進歩と共に住まいの高気密・高断熱化が進み、同時に隙間こそ小さくなったものの、換気といえば窓を開けることしか手段がなく、今のように機械換気設備が整っていなかったことから通気性が悪化。さらに人工的に合成された化学汚染物質を多く含んだ建築資材の使用で室内空気中の化学汚染物質濃度が高まり、これを吸い込んでしまうことによって様々な症状を引き起こすようになりました。なかでも代表的な化学物質といえば「ホルムアルデヒド」で、一度は耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。ビニールクロスを貼る際の接着剤や塗料などに含まれており、VOC(揮発性有機化合物)の一つです。

2003年7月には建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドを含んだ建築資材の使用が制限されました。JIS(日本工業規格)とJAS(日本農林規格)が認定した製品には必ず「F」マークの安全等級が示されるようになり、最高等級は使用制限のない「F☆☆☆☆(エフフォースター)」と呼ばれるもので、この☆の数によって使用制限や使用禁止が判断されます。
表示及び等級による使用制限が定められた主な資材は合板・集成材といった接着剤を用いた板材や壁紙を貼るための接着剤、塗料全般です。また、同時に全ての居室で1時間あたり0・5回以上の換気(分かりやすく言い換えれば2時間あたりで部屋の空気の全部が入れ替わること)が可能な換気設備(24時間換気システムなど)の設置が義務付けられました。これらの対策によりシックハウス症候群は下火となりましたが、決してゼロになったわけではなく、未だにこの問題に悩まされている人がいるのが現状なのです。
