~~建築基準法はあくまで「最低限」、国民を「守る」ための法律ではない~~
先にご紹介した建築基準法における「新耐震基準」。最初の問題として、様々な技術革新が進んだ現在においても、今から43年も前にできた規定をクリアすれば未だに家を建てることができるのです。確かに規定の範囲内で建てているわけですから、決して違法などではありません。しかし、ここで皆さんに知ってほしいのは、建築基準法はあくまで「最低限に過ぎない」ということです。
実際に建築基準法第1章第1条にも「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」と明記されています。誤解されている方もいますが、「この法律に則って家を建てれば絶対に安全です」とは決して謳ってはいないのです。

1995年(平成7年)に発生した阪神淡路大震災を契機に、2000年(平成12年)に再度大きな建築基準法の改正がありました。地盤調査方法や地盤判定の考え方が示されたことをはじめ、柱・梁といった接合部への金物の設置や四分割法(耐震壁がバランスよく配置されているか)が定められたほか、基礎の構造がそれまでの無筋コンクリートから鉄筋コンクリートにすることが規定されました。また、これとほぼ同時に施行されたのが「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」、通称「品確法」です。
ここで導入されたのが住宅性能表示制度における「耐震等級」という指標で、等級1から等級3の3段階に分類され、等級1が建築基準法の最低限の基準を満たす耐震性に該当します。改めて説明すると、耐震等級1の基準を下回らない最低限の耐震性を備えていれば家が建てられるわけで、等級2、等級3はあくまで任意となります。
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では「最低限」とは、一体どういった意味なのでしょうか。耐震等級1は「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震力(東京を想定した揺れの場合、関東大震災時の東京また阪神淡路大震災時の神戸で観測された震度6強から7に相当)に対して倒壊や崩壊を生じない程度のもの、また稀に(数十年に一度程度)発生する地震力(東京を想定した揺れの場合、震度5強に相当)に対して損傷を生じない程度のもの」と定義されています。
ここで注意しておきたいのは、これは「数百年に一度の大地震が発生した場合、改修しない限り住み続けられないほど損傷するが、倒壊や崩壊はしない」つまり「一度だけは耐えられる程度の耐震性しか備えていない」と言い換えることができます。しかし、地震は繰り返し発生しますから「もし2度目、3度目と地震が来たときに倒壊・崩壊しても仕方ない」と言っているようなものなのです。
