~~日本の住宅史を振り返る~~
獲物を求めて、建てては壊す移動型であった旧石器時代の竪穴住居に始まり、狩猟から稲作へと食料事業が変化するなかで、その地への定住を見据えた弥生時代の高床倉庫(高床建物)。そして平安時代の寝殿造や、室町時代から近世にかけて取り入れられた書院造、江戸時代の町屋建築といったように変遷を遂げてきた日本の木造住宅。



しかし、耐震について研究が始まったのは明治時代に入ってからで、地震そのものは古来より記録が残っていたものの、例えば家づくりにおける江戸時代の災害対策はもっぱら火災が中心でした。
「うだつが上がらない」という言葉を聞いたことがあるでしょう。地位が上がらない、金銭的に厳しい状況を意味する慣用句ですが、そもそも「うだつ」とは家の屋根に取り付けられる防火壁のことです。木造住宅はすぐに火が回るため、火災の際はこの「うだつ」によって隣の家にすぐに火が燃え移ることを防いでいましたが、屋根の上に取り付けるわけですから当然、費用がかさむため、裕福な家の象徴でもあったのです。「うだつが上げられない」つまり地位が低いことから、現在のように使われるようになったと言われています。


話が逸れましたが、江戸時代を舞台とした映画やテレビドラマの火災シーンで「火消し」と呼ばれる消防組織を見たことがある人も多いのではないでしょうか。江戸の町は木造住宅が密集していたこともあって火災が非常に多く、消火方法としては火が広がらないように周りの家々を壊してしまうのです。家の柱に縄を繋いで大勢で引っ張ったり、「とび口」「大のこ」といった道具を使って壊すことで延焼を防いでいました。人力ですぐに壊せる程度の強度の家ですから、当時の耐震性など推して知るべしでしょう。


