~~地震は“天災”、しかし建物の倒壊は“人災”~~
2024年1月1日。新年早々の午後4時10分、突然の地震が全国各地を襲いました。石川県志賀町、輪島市で最大震度7、七尾市や珠洲市で震度6強を記録した「令和6年能登半島地震」です。
内閣府が発表した2024年3月12日時点での被害状況によれば死者は241名を数え、水道・電気・ガス・通信といったライフラインが寸断され、土砂崩れ等による道路の通行止めや、火災も17か所で発生するなど各地で甚大な被害を及ぼしました。そのなかでも「住家被害」においては、石川県・新潟県・富山県・福井県・長野県の5県における全壊は約8,000棟、半壊が約14,000棟、一部損壊も約63,000棟と、実に約85,000棟もの住宅が被害を受けているのです。
当時のテレビやインターネットによる連日の報道で、1階が無残にも圧し潰されてしまった家々を目の当たりにした方も多いと思います。特に建物への被害が大きかった輪島市や珠洲市は過疎化によって高齢者だけの住まいが増え、古い木造住宅が多く残っていたことも、被害が拡大した原因の一つとされています。また、今回の能登半島地震では、倒壊した建物の下敷きになる「圧死」が、死者数全体の約40%を占めたほか、「窒息」と「呼吸不全」が約20%。さらに建物の倒壊によって道路が寸断されたことによって救急車や消防車の到着が遅れ、救助を待つ間に「低体温症」や「凍死」で亡くなった方が約14%いたことも分かっています。


最も多い死因となった「圧死」については、振り返れば1995年に発生した阪神淡路大震災も同様です。2006年に消防庁が発表した被害確定によれば、戦前に建てられた木造住宅が多く残存していた地域が被災したこともあって、建物の全壊が約10万棟、半壊も約14万棟にのぼり、人的被害を見ると、死者の9割以上は死亡推定時刻が当日の朝6時前。その死因のほとんどが建物の倒壊や家具の転倒による圧死・窒息死・頭部や内臓の損傷とされているのです。
「構造塾」主宰であり、「構造王」としてYouTubeやfacebook等のSNSで耐震の重要性を発信している「M`s構造設計」代表の佐藤実氏の有名な言葉として「地震は“天災”、しかし建物の倒壊は“人災”である」というものがあります。仮の話になりますが、文化保全や過疎化・高齢化に費用の問題など物事はそう単純にはいかないとしても、阪神淡路大震災でも、能登半島地震でも、もし建物の倒壊を防ぐことができたならば、一体どれだけ多くの命が助かったでしょう。そして地震は繰り返し発生するため、そのダメージは着実に建物に蓄積しているのです。今回は大丈夫だったとしても、次も大丈夫な保証はありません。そこで今号では何十年と大切な家族と暮らしていく住まいだからこそ、この機会にぜひ理解してもらいたい「耐震」の重要性について解説していきます。
