住まいの高性能化によって夏の暑さや冬の寒さへの影響が軽減すれば、年間を通して室温が安定します。すると、血圧の低下や咳などの風邪症状を訴える割合が減少するほか、湿度を適正範囲に保ち、結露の発生も抑えることができれば、アレルギー疾患などの病気の一因とされるカビやダニの繁殖も防ぐことも可能となると言われています。日本建築学会の論文によれば、高性能な家ほど気管支喘息・アトピー性皮膚炎・手足の冷え・肌のかゆみ・アレルギー性皮膚炎などの諸症状が改善される割合が高まり、健康に暮らしている人が多くなるそうです。これはつまり「性能の低い家に住むと、病気のリスクが高まる」と言い換えることもできます。
出典:こうち健康・省エネ住宅推進協議会と伊香賀研究室による共同調査、(参考 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」)
出典:高断熱住宅転居前後における居住者の血圧・睡眠・体温の変化に関する実測調査、調査概要と居住者の症状・体温の変化、日本建築学会大会(関東)2015.9
出典:YKK AP株式会社
また、光熱費などのランニングコスト(維持費用)が抑えられる優れた経済性もメリットの一つです。確かに高性能な建材を取り入れれば、それだけイニシャルコスト(初期費用)はかかるかもしれません。しかし、仮の話になりますが、高性能住宅と、そうでない住宅を比較したとき、1か月の光熱費に1万円の差があれば、年間で12万円、さらに30年で計算すれば360万円もの大きな差が生まれます。窓のみのリフォームである「窓リノベ」を実施するだけでも、最大で約23%もの費用を削減できるという試算結果も公表されています。光熱費が高騰する今なら、より大きな効果が望めるでしょう。
出典:YKK AP株式会社
ここまで6回にわたって「窓」について触れてきました。今年から省エネ基準の義務化も始まった以上、住まいの「高性能化」は避けては通れませんが、ここでご説明したように高性能住宅はとにかくメリットが多いことを理解してもらえればと思います。