初期の窓ガラスといえば、下の写真のように薄い木のフレームに1枚のガラス、いわゆる単板ガラスを嵌め込んだだけのものでした。
その後、単板ガラスはそのままに、昭和30年代以降に主流となったのがアルミサッシです。木材の質に左右されるため品質が安定せず、経年と共に起きる反りや変形によって隙間風が当たり前だった当時の木のフレームに比べると、とにかく耐久性に優れ、さらにメンテナンスの手軽さ、安定した品質に加えて、戦後間もなくの頃で住宅が不足していた日本は「質」よりも「量」が優先された時代で、生産性も高いアルミサッシはメリットばかりでした。
しかし、皆さんもご存じかと思いますが、そもそもアルミは鍋やフライパンにも使われているように、非常に熱を伝えやすい素材です。外気温の影響を受けやすく、外が暑ければ熱を持ち、逆に寒ければ急速に冷えていきます。単板ガラスも断熱性を考慮して作られたものではありません。そして、アルミサッシと単板ガラスによる「熱を伝えやすいこと(冷たくなりやすいこと)」で引き起こされる現象が「結露」です。特に窓の内側と外側で温度差の大きい冬ほど発生しやすいとされています(夏でもエアコンで室内を冷やすことで、室内と壁の中の温度差によって起こる「夏型結露=壁体内結露」があります)。
冬の朝に結露でびっしょりと濡れた窓ガラスやサッシを見て、憂鬱な気分になったことのある方も多いかと思います。そういった方は「毎朝、窓を拭く作業が本当にストレスだった」という声に、まさに共感されるでしょう。ひどいときは窓だけでなく、床やカーテンまで濡れてしまい、そうなればカビが生える心配もあります。
結露の発生原因は、水蒸気を含んだ暖かい空気が冷やされること。乾いたグラスに冷えたビールを注ぐと水滴が発生するのと同じ現象で、これもグラスが冷えたビールで冷やされ、それに触れた空気が、水蒸気として含んでいられなくなった分がグラスに結露水として付着したものです。住宅に例えるなら「断熱性の低い家で、夕方から夜にかけて暖房設備等によって暖めた部屋が、朝方にかけて冷えること」となります。結露はカビやダニによるアレルギーの原因となるほか、壁や天井の内部を腐朽させてしまう可能性もあることから、実は「家の病気」と言われるほどとても怖い存在で、決して見過ごすわけにはいきません。