長期優良住宅は、②で挙げた性能項目等の基準を全てクリアしていることを証明するため、着工前に各種図面や計算書といった様々な書類を揃え、登録住宅性能評価機関に申請して審査を受けた後に、所管行政庁に申請そして審査を受けて初めて認定となります。その後、工事完了時には原則として認定を受けた計画に基づいてきちんと工事が完了した旨の報告が必要となりますが、この際に、例えば登録住宅性能評価機関や所管行政庁が現場をチェックするわけではありません。あくまで報告書での確認に留まるため、疑った見方をすれば、仮に図面通りに工事が行われて いなかったとしても、書類上で「行ったこと」にすれば通ってしまうのです。工事後に「申請時に作成した維持保全計画に従って計画的に点検を実施し、必要に応じて調査・修繕・改良を行うこと」が求められてはいますが、あくまで「必要に応じて」という一文が気になるところ…。そこで長期優良住宅との併用をオススメしたいのが「住宅性能表示制度」です。これは長期優良住宅と違って、その住宅を「評価する」「チェックする」ことを目的に、一般的な木造住宅の場合、設計時と施工・完成時に第三者機関が調査に入ります。つまり住宅性能表示制度の併用によって、この住宅が「長期優良住宅であること」が確実に証明できるのです。
そして住宅性能表示制度に基づいて発行される性能評価書や、長期優良住宅の認定通知書の交付を受け、「建てて終わり」ではなく、その後も計画的にメンテナンスを実施することは、将来的にもその住宅の資産価値を大きく高めてくれるでしょう。そもそも長期優良住 宅であることの認定を受けた住宅は、受けていない住宅に比べて「性能が優れていること」 が公に認められるわけですから、その時点で価値に差が出るのは当然です。さらに車に例え れば簡単ですが、中古として売却を考えたとき、いつ、どこで、どのように点検・修理を行 ったのかが分かる車と、まったく履歴が不明な車であれば、査定金額も大きく変わるでしょ う。現状では、 まだ車検のように法律に則って住宅を検査することはありませんが、それが当たり前になる日も、そう遠くないかもしれません。