住宅基礎は今でこそ「鉄筋コンクリート」ですが、以前はコンクリートのみで鉄筋の入っていないものが多く見受けられました。平成7年に発生した阪神淡路大震災でも、倒壊した家の多くは築年数の経過した「無筋の基礎」の家だったと言われています。コンクリートは「圧縮」には強いのですが、横からの「引っ張る力」には非常に弱い。特に揺れの大きい地震に対しては簡単に割れてしまい、当然のように基礎が割れてしまえば、基礎の上にある建物も倒壊の危険性が高まるでしょう。※写真は発生した大地震により基礎が割れ、倒壊してしまった住宅
そこで重要なのが「鉄筋」の存在です。引っ張る力に弱いコンクリートですが、逆に鉄筋は引っ張る力に対して強さを発揮します。そのぶん圧縮に弱く錆びやすいという弱点もありますが、コンクリートに鉄筋を埋め込むことで圧縮にも引っ張る力にも負けず、鉄筋が錆びたり折れ曲がってしまう心配もない、双方の強さを併せ持った構造となるのです。※基礎の断面図
もちろん、コンクリートの中にただ鉄筋が入っているだけでは何の意味もありません。鉄筋同士がどれだけ頑丈に接合されているかが重要です。また、鉄筋は太さや数、間隔、配置など細かく決められており、それに従って正確に配筋する必要があります。また、鉄筋が多いとコンクリートを流し込んだときに大きな石が流れず、内部に隙間が生じてしまいます。密度が薄ければそれだけ強度が弱まり、クラック(ひび割れ)を起こす原因となってしまうでしょう。クラックから雨水などが入り込むとコンクリートの中の鉄筋が錆びてしまい、基礎の寿命を著しく縮めてしまいます。正確に配筋するということは、基礎の強度を高めるということに繋がるのです。